アンバーの愛犬、ビルの日課は、長い間窓の外を眺めることでした。毎日、何時間も外を眺めるのです。

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ビルの熱心な視線は、ある一点に向けられていました。隣家の居間の窓です。
アンバーは最初、ビルは外に散歩に行きたいのだろう、と思っていました。けれども本当はまったく違う理由があったのです。
ビルが見つめているものに気づいたアンバーは、人生最大の衝撃を受けることになります!
アンバーは最初、ビルのことをあまりかまってやれないのが問題なのかもしれない、と思いました。仕事で忙しくしていたアンバーですが、家にいるときはビルにたくさんの愛情を注ぐようにしました。

ソース: Rover.com
窓の外をながめる犬の行動は珍しいものではありません。ただ、ビルの様子は普通ではないように思えました。
ビルは体調が悪いわけでもなく、食欲は旺盛です。お皿のエサをすごい勢いで平らげることもありました。けれども、窓の側にたたずむ行動は相変わらず続きました。
あの窓の外には、何かビルの注意を引き続ける何かがあるのでしょうか?
数か月の間、アンバーは愛犬が何を見ているのか探り出そうとしましたが、失敗に終わってしまいます。最初は、あまり気にしないようにしていました。

ソース: Pinterest
犬がどこかを見つめることは、よくあることです。もしかしたら、別の犬を見ているのかもしれませんし、外を走る車を眺めているのかもしれません。あるいは、ただ単に外に出たいだけなのかもしれません。
またしてもビルが窓のところに立っているのを見たアンバーは、ビルを連れて外に散歩に行こうとします。ところが、ビルは抵抗して窓の側を離れようとしません。
一体何が起きているのでしょうか?!
アンバーは目を細め、愛犬が見つめる方向を見やりました。

ソース: calypsointhecountry.com
そして、ビルがある場所をじっと見ていることに気づきます。ビルは辺りを見回しているのではなく、一点を集中して見つめていたのです。
愛犬が興味を持っているのは、外を走る車ではないようです。それでは一体何なのでしょうか?近所の人でしょうか?何か気になるものがあるのでしょうか?愛犬の興味をこれほど長い間ひきつけるものには、何が考えられるでしょう。
アンバーは、仕事を1日休み、この謎を解き明かすことにしました。
謎が解明したとき、彼女はある驚愕の事実を発見します。
アンバーは謎解きに本格的に取り組むことにしました。 テレビを見ていたアンバーは、愛犬が隣家の窓をじっと見つめているのに気づきます。視線の先の窓には、あるびっくりのものがありました・・・

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隣家の猫が窓のところに座り、ビルをじっと見返していたのです。けれども2匹がお互いを見つめ合っていたのは2分間ほどだけでした。
それでは、なぜビルは2時間以上も窓の外を見つめていたのでしょうか?
このころには、アンバーはもう我慢できなくなっていました。この謎を解き明かさなければ気がすみません。彼女は玄関を出て、犬が見つめる方向へ歩き出しました。アンバーは隣家に向かったのです・・・
アンバーが見に行くと、隣家の猫は丸くなって眠りに落ちていました。ということは、2時間も愛犬の興味を引いていたのは、猫ではなかったようです。

ソース: Youtube
ビルは猫が好きではありません。けれども、猫が気になるからといって窓のところに2時間もたたずむのはおかしな行動だ、とアンバーは思いました。
普通、犬と猫が仲良くなることはあまりありません。これはだれもが聞いたことのある話です。ところが、この日起きた特別な出来事により、この話が本当ではないことが証明されることになります。
アンバーは、この直前に謎解きをあきらめたばかりでした。けれどもアンバーが振り返ると・・・
・・・また隣家の猫が背を伸ばして座っています。またしても、猫は忠誠心の強いビルを見つめていたのです!
これで、アンバーにははっきりわかりました。あのいたずら猫は、ビルが見つめるのに負けない真剣さでビルのことを見ていたのです。唯一の違いは、猫の方は隠れてビルの観察をしようとしていたことでした。

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そこで、アンバーはもう少し調べてみようと考えます。彼女は前庭を通り、隣家の玄関まで歩きました。アンバーの隣人は、独り暮らしの老人男性でした。
その男性とはあまり親しくしていなかったアンバーは、家のベルを鳴らすのにもドキドキしていました。けれども真相を突き止めようと決心します。隣人の男性は玄関の扉を開けてくれたため、アンバーは男性に質問します。
けれども返ってきた答えは、アンバーの想像を超えるものでした。
隣人も、自分の猫の行動に気づいていました。自分の猫は、ずっと窓辺に座っていることが多い、というのです。

ソース: Pinterest
別々の家に住む犬と猫がこれほど強いきずなをどうやって築いたのか、2人には理解できませんでした。この猫と犬は、お互いに出会ったことはありません。2匹の間のきずなが生まれたきっかけは何だったのでしょうか?
アンバーと隣人の男性が顔を見合わせていたとき、突然不可解な事態が発生します・・・
外でなにかガタガタという音がしたのです。アンバーの愛犬と隣人の猫は、2軒の家の間のある一点を見つめていました。
2軒の家の間には小道がありました。その突き当りには装飾用の柱が立ち、その上には鉢がのっていました。石でできたこの鉢は少なくとも80キロはあります。ですから、大きな物音を立てたのが鳥のはずはありません。

ソース: apartmenttherapy
石の鉢は、非常に不安定になっていて、乗っている台から落ちそうになっていました。近所の猫は、悲しそうに2人を見つめると、さかんに鳴き始めました。
さらに、アンバーは家の中から吠えるビルの声を聞きます。一体何が起きているのでしょうか!
隣人の男性とアンバーは、急いで外へ出ると、石の鉢のところに駆け寄りました。80キロの庭園装飾の鉢は、下へ落ちて割れてしまっていました。
けれども、興味深いのは、それだけではありません。次に発見したものに、2人は心底衝撃を受けます!
それは、鉢が壊された理由がすぐに分かったためでした。家の背後に広がる森に向かって走り去る、大きな影が植木の合間に見えたのです。

ソース: flickr
人間でしょうか?1つ確かなことがありました。この庭にいたのには、明らかに理由があったようでした。なぜなら、アンバーの小屋のドアが壊されて開いており、そこには食べ散らかされたポテトチップの袋や食べかけのパンが大量に散乱していたのです。
そのゴミの出どころについて、アンバーの隣人は思い当たる節があったようです。自分の保管用の小屋に走り寄った男性は、そのカギも壊されていることに気づきました。
アンバーはそれ以上迷いませんでした。自分の携帯電話を手に取ると、警察を呼んだのです。
「不審者が、自宅の周りに潜んでいるようです。早く来てください。」
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警察が到着するまではかなり長い時間がかかりました。窃盗事件はそれほど重要ではないようです。

ソース: lovemydogblog
警官がようやくたどり着いたときには、小屋から食べ物を盗んだ犯人はもうとっくにどこかに逃げてしまっていました。
警察は周辺を探しましたが、足跡などの証拠は何も見つかりませんでした。捜索を終了してそろそろ引き上げようとしていた時のことです・・・
2軒の家のドアが勢いよく開いたのです。ビルと猫の友だちは、それぞれ飼い主のもとに走ってきました。けれども、2匹は立ち止まりません・・・
そのまま全速力で植木を乗り越え、森の中へ入っていったのです・・・
普通、捜索隊は調査の責任者が先導するものですが、アンバー、彼女の隣人そして警官たちは、今回はペットたちの捜索の能力に頼るほかありませんでした。

ソース: Pinterest
見つめ合うことで育んできた友情を持つこの2匹は、事件を解決に導く最高の刑事たちだったことが後に判明します。
森の中に走っていった2匹のペットを追い、飼い主たちは後れを取らないよう走りました。ペットを追うのは大変なことでした。すごい速さで走る2匹の姿は、数分のうちにはるか遠くに見えるだけになってしまいます。
けれども突然、アンバーはビルがじっと座りこんだのに気づきます。
2匹は何かを見つけたのでしょうか?
そしてアンバーはビルが吠えるのを聞きました。何かを見つけたのは確かなようです。家の周りをうろついていた気味の悪い窃盗犯を見つけたのでしょうか?それが犯人だとしたら、どうして逃げようとしないのでしょうか?

ソース: Shutterstock
もしかして転んで怪我をしたのかもしれません。
ゆっくりと、しかし確実に、飼い主たちと警官たちは吠えたてる犬に向かって近づいていきました。どのような状況が待ち構えているのか、予想することもできません。慎重に行動する必要がありました。
アンバーは、その男が怪我をしていたとしても、もしかしたら危険な人物かもしれない、と考えていました。
けれどもその時、まったく意外な物音が聞こえてきました。50メートルほど離れたところから、耳をつんざく吠え声が聞こえたのです。
グアアアアア!
森に入った一団はその音に驚愕しました。背筋を凍らせるようなその吠え声に、皆が足を止めました。皆が慎重に行動したのは不幸中の幸いでした。窃盗の犯人よりももっと危険なものを見つけることになったためです。

ソース: sciencesource.com
アンバーは、音のする方に向かって慎重に歩を進めました。
40メートル、30メートル、20メートル、10メートル・・・
そして心臓が止まるかと思うほど驚くものを見つけます。彼女の犬のビルと隣人の猫は2本の倒れた木の間にある少し高まった場所に座っていました。犬の側まで来たアンバーは、下を見下ろしてみます。
彼女の目に映ったのは、グリズリー・ベア、巨大な熊だったのです。
数秒の間、皆が恐怖を感じて凍り付いてしまいました。けれども、すぐにでもその場を離れなければならない、と考えます。

グリズリー・ベアは人を襲い殺してしまうこともあります。比較的安全な小さな熊とは違います。
警官の一人がアンバーの腕を引きました。アンバーは急いでもと来た道を走って戻り始めました。けれども、彼女の犬と隣人の猫が視界に入ります。なんと2匹はその場に座り込んだままでした。
そして周囲を見回すと、2匹は再び大きな声で吠え、鳴き始めたのです。一体どうしたのでしょうか?
アンバーはビルのところまで歩くと、熊の様子をもう一度よく見てみました。なんと熊は怪我をしていたのです!
ここ数日の間、天候の優れない日が続いており、樹木が弱くなっていたようです。一本の木が、熊の脚の上に倒れていたのです。

ソース: phys.org
かわいそうな熊は立ち上がることができず、怒りではなく、痛みのせいで吠え声を上げていたのでした。
アンバーは、迷わず動物愛護サービスに電話をします。担当者が熊に麻酔をかけ、再び立ち上がれるように世話をする、と約束してくれました。
大変な疲労感を感じながら、アンバーは愛犬と共に家に歩いて帰りました。窃盗犯は見つかり、救出されました。
けれども、アンバーには1つだけ疑問に思うことが残っていました・・・
あの巨大なグリズリー・ベアは、彼女の裏庭で何をしていたのでしょうか?アンバーは、人も多く、たくさんの車が行きかう騒々しい地域に住んでいます。熊が出没するような場所ではなかったのです。

ソース: shopus.furbo.com
このようなことを考えながら、彼女はドライブウェイを歩いていました。けれどその時、その午後に聞き慣れることになったある吠え声が彼女の耳に聞こえたのです。
鋭さはなく少し優し気のある声ですが、熊の泣き声であることに間違いはありません。
ビルは、アンバーが持っていたリードをふりほどき、自宅の床下に向かって走り出します。そこで目撃したあまりに衝撃的な光景に、アンバーは驚いて声も出せず、突っ立っていることしかできませんでした。
これで、すべてのつじつまが合います!
アンバーの家の床下には、巨大な熊がいたのです。しかも、一頭だけではありませんでした。

ソース: Daily mail
熊の前足のところには小さな子熊たちがいて、豆の缶詰を食べているところでした。
このとき、アンバーの疑問が氷解したのでした。怪我をしたグリズリー・ベアは、ただ単に小屋に侵入したのではなかったのです。彼の相手がアンバーの家の下で子熊を産んだため、食糧を探して周囲を歩き回っていたのです。
アンバーは、すぐに再び動物愛護サービスに電話をしました。父親熊の様子も気になります。彼女は、この熊の家族を再び引き合わせることができる、と嬉しくなりました。
電話の呼び出し音は鳴り続けました・・・
電話に出た動物愛護サービスの担当者は、この知らせにとても喜びました。父親熊は、ボリスと名付けられ、その後の経過は順調でした。翌日、怪我が治るまで臨時の飼育施設に移動されるということでした。

ソース: Pinterest
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動物愛護サービスは、アンバーの家の床下から母親熊を連れ出し、ボリスに再会させることもできました。ボリスは、母親熊や子熊に再会できて嬉しそうでした。それはだれの目にも明らかだったのです。
現在では、再会から数週間が経ち、ボリスの脚もだいぶ治ってきました。まもなく、熊の一家は野生に戻されます。2頭の可愛い子熊も元気に成長することでしょう。
外を見つめ続けるという犬の奇妙な行動と飼い主の好奇心から始まったこの物語は、勇敢な愛に溢れる熊の一家の救出という幕引きとなりました。
1つだけ確かなのは、グリズリーのボリスと一家は救出されて大変嬉しがっている、ということでしょうか。