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動物園の飼育担当者であるリチャードはトラが妊娠しているのを見たとき、とても嬉しくなりました。トラが妊娠しているということは、動物園に数頭の赤ちゃんトラが仲間入りするということです。
何か月も待った後、いよいよ出産のときが近づいてきました。しかし、不思議なことに、トラは出産を拒否したのです。心配になったリチャードは、地元の獣医に連絡をして、超音波検査をしてもらうことにしました。超音波検査でトラのお腹の中を確認すると、獣医はすぐに警察に通報したのです。
しかし、一体このトラに何が起こったというのでしょうか?リチャードが何か間違ったことをしたのでしょうか?
警察の出動

獣医が警察に通報すると、警察はすぐに出動すると言いました。このトラは獣医だけでなく、警察の助けも必要としていたのです。トラのお腹の中には、明らかに何かおかしなことが起こっていたので、トラを救うためには手術を施す必要がありました。リチャードは状況についていけません。トラの赤ちゃんの出産を手伝うだけなのに、なぜ警察の助けが必要なのでしょうか?また、トラの手術をする必要があると聞き、リチャードはとても不安になりました。
警察からの質問

動物園に到着した警察官は、元気のない巨大なトラに鎮静剤を打つのを手助けをしました。しかし、警察官は獣医のサポート役として、動物園まで来たわけではありません。リチャードにも確認したいことがったのです。
「すみませんが、一緒に来てください。とても重要なことです」と、警察官はリチャードに言うと、リチャードは大きなショックを受けました。警察に捕まるような覚えはリチャードにはありません。彼は知らずに何か悪いことをしてしまったのでしょうか?そして、警察官は思いもよらない内容の質問をリチャードにし始めたのです。
驚いた獣医

リチャードは、彼自身のことや赤ちゃんのときから世話を続けてきたトラのことなど、警察官からの質問に答えていきます。中には、思いがけない質問までありました。すべての質問に答え終えた彼は、手術室から獣医の叫び声が聞こえてきました。
「信じられない!こんなものは見たことがない」と獣医は叫んだのです。
獣医がトラのお腹の中から見つけたものとは何だったのでしょうか?動物に見慣れた獣医がこれほどまでに驚くのですから、よほど珍しいものだったに違いありません。
妊娠して欲しい

リチャードのトラが妊娠をしてから、数か月が経とうとしていました。しかし、ここまでの道なりは長いものだったのです。
リチャードは彼のトラであるカーリーのことが大好きでした。そして、自分の動物園にもっとトラが増えたらいいなと思ったリチャードは、カーリーが妊娠をして、赤ちゃんを産んでくれることを望んでいました。しかし、カーリーを妊娠させるのは、簡単なことではなかったのです。動物園にはカーリー以外のトラがいなかったので、リチャードは人工授精をしてくれる施設や獣医を探すことにしました。しかし、なかなか引き受けてくれる人が見つかりません。
トラの妊娠させてくれる人を求めて

彼のトラを妊娠させて、動物園に赤ちゃんトラを迎えるためには、リチャードは合法的にトラの人口授精に取り組んでいる人を探す必要がありました。しかし、なかなかリチャードの思った通りにはならず、数か月経っても、リチャードの願いを叶えてくれる人は見つけることはできませんでした。カーリーを妊娠させて、赤ちゃんトラを動物園に迎えることは無理であると受け入れて、どこからか他のトラを譲渡してもらえるように頼むことをリチャードは検討し始めました。
ついに見つける

何か月も探した後、ついにリチャードはある男性を見つけたのでした。この男性はトラに精通しており、連絡を受けてすぐに動物園に来てくれるとのことでした。そして数日後、リチャードの動物園まで来てくれたこの男性は、人口授精を行い、無事にカーリーを妊娠させることに成功したのです。
リチャードはとても嬉しく思いました。カーリーが出産をする日まで今から待ちきれません。トラの妊娠期間は約100日間なので、3か月ちょっと待てば、かわいい赤ちゃんトラに会うことができるのです。
超音波検査

ここまで長くゆっくりした過程ではありましたが、リチャードはついに自分の求めていたものを得ることができたのです。1、2週間後、リチャードは獣医に連絡して、カーリーが本当に妊娠しているのかを確認するため、最初の超音波検査をしてもらうことにしました。トラを妊娠させてくれた人が、カーリーは妊娠していると言っても、実際目で確認するまでは信じられない思いでした。また、最愛のカーリーと赤ちゃんの無事も確認したかったのです。
超音波検査が終わると、獣医は検査結果を明らかにしました。
検査結果

獣医は検査結果をリチャードに伝えます。カーリーは無事妊娠をしていました。また、幸いにもカーリーと赤ちゃんトラのどちらにも何も問題はなく、赤ちゃんトラはカーリーのお腹の中ですくすくと成長しているようでした。これからリチャードは忙しくなることでしょう。妊娠しているカーリーを今まで以上にケアし、赤ちゃんトラが産まれてくる準備もしなければなりません。リチャードは検査結果を聞いて、胸いっぱいになりました。しかし、妊娠が進むにつれて、思い通りにならないことが出てきたのです。
カーリーとの遊び時間

カーリーに妊娠症状が現れ始めました。妊娠をしてから、カーリーはあまり眠ることができなくなったようです。さらには、妊娠前はリチャードと遊ぶことが大好きだったはずなのに、妊娠してからは遊びたがらなくなってしまいました。よっぽど疲れているのか、または本能的に危険なことを避けているのでしょうか?
リチャードには、なぜカーリーがこのような行動をするのか理解できませんでしたが、とても心配になりました。また、苦しんでいるカーリーに対して、何もしてあげられない自分にもどかしさを感じたのでした。
落ち着きのない様子

妊娠が進むにつれて、カーリーは日に日に落ち着きがなくなりました。獣医によれば、トラが妊娠中にそわそわしたり、落ち着きがなくなるのは、妊娠中によくあることだと言っていたので、リチャードはカーリーもすぐに落ち着きを取り戻すだろうと思っていました。しかし、小さな赤ちゃんトラを出産する予定だった週に、カーリーは苦しさに耐えられない様子を見せたのです。いよいよ出産が始まるのでしょうか?リチャードは、カーリーが無事に出産を終えて、早く痛みから解放されることを願いました。そして、リチャードも急いで出産準備を整えたのでした。
獣医に連絡

リチャードは出産が上手くいくように、事前にあらゆる準備をしてきました。カーリーが安心して出産できるように出産場所も整えたり、何かあったときにすぐ獣医に連絡できるように、獣医の電話番号を見やすいところに書き残しました。しかし、カーリーは出産することを拒否したのです。一体カーリーに何が起こっているのでしょうか?リチャードは急いで獣医に連絡をすると、何をすればいいのか指示を仰ぎました。すると、獣医は予想外な質問を尋ねてきたのです。
必要な措置

獣医は、カーリーがどのような症状なのかを正確に教えて欲しいとリチャードに言いました。「初めはいつもに増してそわそわしていたのですが、今はぐったりしていて動きません」と、リチャードはカーリーの症状を獣医に説明します。リチャードの説明に獣医はショックを受けました。カーリーは危険な状態だったのです。獣医は、すぐにカーリーを今から指示する体勢で横にならせてくださいと説明しました。カーリーは出産を拒否していたわけではなく、出産が困難だったのです。これ以上出産を遅らせないためにも、カーリーは助けを必要としていました。
手足を伸ばす

獣医は、仰向けに寝転がらせたカーリーの手足を伸ばすようにリチャードに指示しました。それでカーリーとカーリーの赤ちゃんを助けることができると獣医は言います。獣医はまるで手足を伸ばすのが何でもないかのように説明しますが、実際はトラを寝転がらせて、手足を伸ばすのは困難を極めました。リチャードは早速獣医に指示されたようにカーリーの手足を伸ばそうとしましたが、カーリーはとても攻撃的で誰も寄せ付けようとしないのです。
近づくのを恐れる

リチャードは自分のトラに攻撃されることを恐れました。いつもであれば、リチャードに心を開いたカーリーがリチャードを襲うことはありません。しかし、今は状況が異なります。気が立って攻撃的になったカーリーの手足を伸ばそうとして、さらにカーリーを怒らせることはないでしょうか?この方法が本当にカーリーを助けることになるのでしょうか?リチャードは戸惑いました。しかし、リチャードが行動に移さなければ、カーリーの出産も上手く進みません。このままでは、カーリーもカーリーの赤ちゃんも危険な状態となってしまいます。
リチャードは、他の方法がないか獣医に尋ねました。
ゆっくりと近づく

仰向けになったカーリーの手足を伸ばすことが、カーリーとカーリーの赤ちゃんを助ける唯一の方法であると獣医はリチャードに言います。それを聞いたリチャードは、覚悟を決めました。今は怖がっている場合ではありません。カーリーを怖がらせないように、リチャードは声をかけながら、ゆっくりとカーリーに近づいて行きます。
そして、ついにカーリーに近づくことができたリチャードは、カーリーが痛みを感じていないことを確認しながら、獣医に指示された通りにカーリーの手足を伸ばしたのでした。
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次の指示

リチャードがカーリーの手足を伸ばすのに成功すると、獣医は次の指示を出しました。獣医はリチャードにカーリーの腹部を触るように言います。そして、妊娠中に気づかなかった小さな膨らみがあるかを確認するように指示したのでした。リチャードは、何も見逃すことがないように、細部までカーリーの腹部を確認します。そして、リチャードは自分の見たものに動揺を隠せませんでした。今まで近くでカーリーを見守ってきたのに、このことにリチャードは全く気づかなかったのです。リチャードは何を見たというのでしょうか?
小さな膨らみを見つける

リチャードは、今まで気づかなかった小さな膨らみをカーリーの腹部に見つけたのでした。しかし、これはどうゆうことなのでしょうか?カーリーは病気なのでしょうか?病気だとすれば、治療は可能なのでしょうか?すぐにリチャードは、カーリーは大丈夫なのか獣医に尋ねました。この膨らみが原因でカーリーが苦しんでいたのだとすれば、リチャードは一生自分を許すことができません。リチャードは藁にもすがる思いで、獣医に次の指示を仰ぎました。
しかし、獣医の答えは、リチャードを安心させるものではなかったのです。事態はリチャードの手に負えないほど悪化していたのでした。
口調が変わる

獣医は口調を急に変え、リチャードに言いました。「カーリーに超音波検査をしなければなりません。すぐに向かいます」
そして獣医は、30分以内に動物園に着くので、リチャードに落ち着いて待っているように言うと、電話を切りました。しかし、リチャードは落ち着いていられるはずがありません。獣医の口調の変化は深刻そうでしたし、出産直前にまさか超音波検査が必要になるとは予想すらしていませんでした。カーリーの症状は、そんなにも悪いのでしょうか?
しかし、獣医は1つ見落としていたことがあったのです。
渋滞

動物病院からリチャードの動物園までは車で片道30分。普通に動物園に行くだけでも大変なのに、獣医は今が通勤時間で道路が混雑していることを忘れていました。獣医は思っていたよりも長く渋滞にはまってしまったのです。
カーリーが無事に赤ちゃんを出産するためには、なるべく早く動物園に向かわなければならないのに、これでは30分以内に動物園に着くことができません。
獣医を迎えに行く

一向に到着しない獣医に、リチャードはますますストレスを感じました。そして、獣医に電話をかけて渋滞にはまっていることを知ると、リチャードの友人がバイクで獣医を迎えに行くことを提案したのです。バイクであれば、渋滞をすり抜けて、なるべく早く動物園に到着することができます。
獣医はリチャードの提案を承諾し、動物病院まで一度戻ることにしました。そして、リチャードの友人が迎えに来るまで待つことにしたのです。
検査

リチャードの友人は動物病院から獣医を迎えに行くと、十数分以内にリチャードの動物園に到着しました。獣医を見て少し安堵したリチャードですが、出産はまだまだ始まったばかりです。カーリーは動く様子がなかったので、獣医はすぐに検査を始めることにしました。
しかし、獣医がカーリーに近づくと、急にカーリーは動き出したのです。カーリーが動いたままでは安全に検査をすることができないので、獣医はあるものを使うことにしました。
鎮静剤を打つにも一苦労

獣医はカーリーに鎮静剤を使うことにしました。鎮静剤が効いてくれば、カーリーの興奮を抑えることができるので、獣医やリチャードが襲われる心配はありません。
しかし問題は、カーリーに鎮静剤を打つことだったのです。カーリーに鎮静剤を打つのは、簡単な作業ではありませんでした。警戒してなのか、カーリーが動き回るので、獣医は鎮静剤を打つタイミングを計りました。それでもなかなか鎮静剤を打つことができなかったので、獣医はリチャードと彼の友人の手を借りることにしたのです。鎮静剤を打つ間、カーリーが動かないように抑えて欲しいと、獣医はリチャードたちに頼みました。
より攻撃的になったカーリー

カーリーはさらに攻撃的になってしまいました。そこで、リチャードと彼の友人は少し距離を置いて、カーリーが落ち着くまで待つことにしました。しかし、しばらく待っても、カーリーが落ち着く様子はありません。他にカーリーを落ち着かせる方法はないでしょうか?
実は、獣医はもう1つ他の方法があることを知っていました。リスクが伴うので、できれば避けたかった方法ですが、この状況では仕方ありません。
他の方法

獣医は、離れたところから打つことができる麻酔銃を使って、鎮静剤を打つこともできます。しかし、より強力な薬を使う必要があり、リスクが全くないわけではありません。最悪の場合には、カーリーと赤ちゃんトラがこの強力な鎮静剤に耐えられず、亡くなってしまう可能性もあるのです。
獣医はリチャードにどうしたいかを尋ねました。カーリーと赤ちゃんトラの命に関わる問題なので、リチャードはどちらを選ぶか簡単には判断ができませんでした。
正しい選択

選択を誤れば、悲しい結末が待っていることをリチャードは知っていました。しかし、間違った選択とはいったい何なのでしょうか?すぐに検査を始めてもらうために、強力な鎮静剤を選ぶべきでしょうか?または、少しでも危険を回避するために、より安全な鎮静剤を選ぶべきでしょうか?しかし、それではすぐに検査が始められるとは限りません。彼はそれぞれの選択肢についてよく考えてから、獣医にそれぞれの方法を選んだ場合に起こり得るリスクについて尋ねました。
そして、長く考え通した結果、リチャードは頭ではなく、心の声に従って決断したのです。
強力な鎮静剤を選んだ

カーリーが安全に出産するためには、鎮静剤を打つ必要があると理解していたリチャード。これ以上出産を遅らせるのは、カーリーにとっても、お腹の赤ちゃんにとっても良くないと思ったのです。そのため、すぐに打つことができる強力な鎮静剤を選んだのでした。そしてリチャードは、獣医が強力な鎮静剤を使うことに許可しました。
しかし、獣医が鎮静剤を打つ前に、まずは自分たちの安全を確保しなければなりません。カーリーはますます興奮しているようで、とても近づける状況ではありませんでした。
檻から離れる

獣医は、リチャードと彼の友人にゆっくりと檻から離れるように指示しました。しかし、カーリーはそれが気に食わなかったようで、さらに興奮した態度を取ってきます。リチャードはこのような状態のカーリーを1人檻の中に残していくことを躊躇いました。まるでカーリーに「行かないで欲しい、助けて欲しい」と言われているような気がしたのです。時間をかけて決意した気持ちも一瞬で揺らいでしまいそうになりました。
本当に苦しんで興奮しているカーリーを檻の中に残して去ることが、カーリーのためになるのでしょうか?
苦しむカーリー

カーリーは落ち着かないだけでなく、苦しみを悶えているようでした。カーリーの痛みを和らげるためにも、なるべく早く鎮静剤を打つ必要があったのです。しかし、一時の感情に惑わされて、リチャードはなかなか檻から離れることができません。そんなリチャードに、できるだけ早く鎮静剤を打つことで、より早くカーリーの痛みを和らげることができると獣医は説得しました。納得したリチャードは、心の中でカーリーに謝りながら、足早に檻から離れたのでした。
これでカーリーに鎮静剤を打つ準備が整いました。
鎮静剤を打つ

リチャードと彼の友人が檻から離れたのを確認すると、獣医は麻酔銃を使ってカーリーに鎮静剤を打ちました。カーリーが完全に眠りにつくまで数分間待った後、獣医は超音波検査の準備を始めます。
獣医が超音波検査を行っている間、緊迫した空気が流れました。たった数分間のことなのに、リチャードにとっては永遠のように感じたのです。カーリーに何が起こっているのでしょうか?リチャードが見つけた小さな膨らみの正体は何だったのでしょうか?
カーリーの検査

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トラの超音波検査を行うのは、見た目よりもずっと大変なことでした。鎮静剤を使ったときに、カーリーは腹部が隠れた状態で眠ってしまったのです。このままでは適切に超音波検査ができないので、獣医はカーリーの手足を伸ばすようにリチャードに尋ねました。
これでやっと獣医は超音波検査ができるようになったのです。ここまで、獣医が渋滞に巻き込まれ、鎮静剤を打つまでに時間がかかり、さらには超音波検査のためにトラの体勢を変える必要もありました。まだ出産は終わっていないのに、すでにリチャードは疲れ果てていました。